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木造超高断熱 新本社の建設が始まりました2020.05.28

中部横断道の一部開通後、工業団地や新小学校など計画の多い佐久市下小田切地区。
その一角で今月より木下建工の新本社建設工事が始まっています。


木造2階建 1階310平米、2階80平米、合計390平米程度の計画です。
スタートしたのは2017年。現本社の賃貸借契約が3年後に終了する、加えて現在社員を収容しきれず旧本社にも一部事業部を置いている中で、当初は新築ではなくリノベーション前提で社員と通勤車両を集約できる建物と駐車場を探していました。

しかしながら臼田地区ではこの規模のオフィスは無く、また大きな古民家を改装というのも興味深かったのですが駐車場用地が取れない。そこで2018年に休耕田を取得し各種許認可を得て新築することになりました。

地鎮祭は風の強い日でした


新築するのなら、社会へ新しい提案がある建物でなくてはなりません。そこで木下建工のミッション「循環型社会の実現」を体現する社屋として以下を基本的な要件としました。


美しい木造の建物であること
世界有数の森林国である日本。2020年には、主伐期を迎える人工林が約7割と見込まれるなど、森林資源はかつてないほどに充実しています。
一方で人工林資源の活用は森林の成長量と大きな乖離があります。人工林は間伐しないと密集したまま樹木が細くなり、根も伸びず土砂災害に弱くなります。また高齢化した木はCO2吸収量が低下しています。
「伐る、使う、植える、育てる」といった森林資源の循環利用で大工さんや地元の木材関連産業にお金が落ち、土砂災害に強くCO2も多く固定できる森を次の世代に渡すことができるのです。

中~大規模建築物でも、もっと木を使う必要があります。月並みな表現ですが、皆が見本にしたくなるような、美しい木造の建物を建てることが地域建設業の責務ではないかと考えました。

第1案提案時


災害に強い建物であること
災害緊急対応を契機として創業した木下建工では、ミッション実現のため事業継続性に強いこだわりがあります。
一般的に災害に強い建物というと耐震等級や免振など地震対策が主に議論されますが、弊社ではBCPリスクシナリオでの結果発生事象に着目しました。すると地震への強さも当然大切ですが、業務継続の観点からは本社社屋には停電対策と社員用の水等備蓄が必要です。

とはいえ正直なところこの規模のオフィスで重油を備蓄して非常用発電機を設置するというのは社会への新しい提案には思えません。(発電機なら現場用に何台も所有しているのですが)
そこでV2Hという電気自動車の電池から建物に電気を供給できるシステムを採用し、災害時に電力供給することとし、水はエコキュートを設置、備蓄用のストレージも設けることとしました。

出典:ニチコンWebサイト


超高水準の省エネルギー建物であること
省エネルギーはミッション実現の中心的要素です。
この項目だけで書き始めるとA420枚程度になってしまうので後の為にネタはとっておきますが、今回は全ての窓ガラスを樹脂または木のトリプルとしています。非常に屋根が大きな建物ですので、屋根断熱はGW換算550mm相当、壁はKMブラケットを採用し210㎜断熱します。

また太陽光発電を19.2kW 搭載、ほぼ無断熱の現本社の過去2年デマンドが12kWで晴天率の高い佐久ですので冬の夕方以外勤務時間中ほぼマイナスエネルギー、土日はサーバ類とセキュリティを除き完全に社会の為にエネルギーを生み出す拠点となります。

その他木下建工では、技術者は直行直帰OKで普段は事務系の8人程度のみ、たまに複数人での施工計画策定や工事書類まとめがあり、月1回社内会議で最大30人程度集まる利用形態です。
そこで換気はハイブリッド構成を組み、トルネックス+第1種熱交換換気focus200 でベースの換気負荷を、たまに人数が増えたときはデマンド第3種換気HealthBOX3.0により各所のCO2センサー、VOCセンサーで空気質をリアルタイムにとらえ自動制御します。

面積に対して気積が大きいため単位面積あたりのエネルギー使用量では若干不利な建物形状ですが、人間が過ごし生産するのは平面ではありません。折しも感染症の流行により、新しい日常への適応が求められる時代、体積の価値が再評価される日が来るのではないかと思います。

また省エネルギーの観点では使用量の見える化も非常に大切なポイントです。
高価なBEMSを導入しても普及しなくては意味がないので、一般住宅用の分電盤やHEMSを転用し各回路を計測すると同時に、Rasberry Piで各種計測表示を行うべく製作中です。




そのほか自然とコミュニケーション、コラボレーションが生まれる動線や設備、社員様々な活動に応じて生産性と創造性を最大にする空間機能など、見どころばかりですのでセキュリティに問題ない範囲で工事進捗とともに紹介していきます。




現地はいま基礎工事中。先日の緊急事態宣言でテレワークをし、これからの時代にオフィスって必要なのか?と考える機会になりました。

【スタッフから】テレワークを導入して感じた利点と課題




テレワークをした社員からは、営業電話やアポ無し来客に悩まされず集中できたという意見の一方、子どもがいて仕事できないとか、近くにいる先輩に気軽に聞くことができないのがつらいという声がありました。
私個人としても電話や無駄な会議出席で業務効率がかなり落ちていたことを実感する一方、テレワーク後にオフィスのコンテッサに座るとやっぱり快適です。

家から気軽にアクセスできる、通勤が苦痛でない距離に仕事用のスペースがあってもいい。そこでは靴を脱いでコーヒーを入れ、より集中したい時に集中でき、協働したい時に協働できる。地方ならではの新しい執務環境が実現する予感がします。

基礎外断熱は防蟻性能に優れたスタイロフォームAT


その横では田植えをしている社員の姿が。今回の立地、もともとは陛下に献上したような米を作っていた休耕田で、隣接地は日本で初めてプルーンの栽培に成功した畑です。そこで新本社と駐車場以外の、残る1,000平米程度を水田として復活することにし今年から米を作っています。




南東側の大きな開口の先に位置し、夏は緑で目を癒し、秋には黄金色が胃袋を満たしてくれるかもしれません。
 

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