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PHI Low Energy Building 認証の取得について2022.11.29

2020年11月に竣工し移転した木下建工新本社(NHQ1)が、このたびPHI ローエナジービルディング認証を取得しました。

ローエナジービルディング認証は、世界で各国でも最も厳しい基準とも言われるPHIパッシブハウス認証の下位に位置するものです。
様々な理由でパッシブハウス基準に完全に適合していない建築物用の基準となっており、NHQ1の場合は平日10時間程度で夜間使用しないため、エネルギーに関する要求レベルがパッシブハウス建築物より低い設計となっています。


NHQ1では移転直後からCO2排出量は旧本社の4分の1以下になり、同じ人たちが同じデスクワークを同じパソコンでしているのにそこまで変わるのかと驚いたものです。

その後継続的にエネルギー使用量(実測)をモニタリング。オール電化なので楽ですね。
脱炭素のためにパッシブハウスメソッドによって建てた結果、使用量は発電量を大幅に下回り、光熱費が1年間でマイナス7,000円になるという経営上のメリットがありました。

NHQ1では着工前よりPHPP(Passive House Planning Package)を利用し、その仕様を検討してきました。

約400㎡の建物を家庭用エアコンで冷暖房できるかどうかもPHPPでは問題ないと決断しました。全館用3台のみという攻めた構成のため、配置の関係で雪の降り続く窓の近くなど局所的にもう少し温かさがほしいなと思うことは年に数回ありますが、この面積を全館冷暖房して3,122kWh(2021年実績)です。




このくらいの性能のオフィスになると冷暖房需要がLEDの照明需要と同じくらいになってきます。またオフィスにシャワーはあるものの、年数回しか使っていないのにエコキュートの消費電力が意外に多い。もうタンクからの放熱を何とかするより、壊れたら太陽熱温水にするのがいい気がしてきました。




さて、ローエナジーの認定も必要書類はパッシブハウス規格と同じです。
認定申請資料はなんと360ページ越え、WinISO(熱橋解析)だけで250ページあります。




これが自称パッシブハウス「クラス」やパッシブ「デザイン」というものと、認定物件を手掛ける人達がつくるものの違いです。前者は多くの場合QPEXやPHPP等による冷暖房需要を計算しておらず、どの程度エネルギーを使うのかわからないですし、そもそもこの仕様でエコハウスを名乗るのか?!というものも目にするのは珍しいことではありません。

そして冷暖房需要までは計算しているという場合でも、やはり一度は機会を作ってパッシブハウスの認定を受けると、熱橋まで含めた設計検証の過程と風量調整など現地検証で確実にレベルアップすることでしょう。

今後公共施設やオフィス、店舗など、非住宅の高断熱化が進むことは間違いない未来です。その際、本当に実力ある作り手の見分け方として、認定物件の有無は有効だと感じました。


 

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